卒業生とその進路

局所移動平均曲線を用いた低レイテンシ固定小数点除算器の研究


付 宇晗

2016 年度 卒 /修士(情報科学)

修士論文の概要

本研究は、新規補間曲線を用いて、低レイテンシ固定小数点除算器の構成を目的としたものである。本論文は、従来の除算アルゴリズムおよび線形補間手法のBézier曲線の定義と特性を説明した。上記の曲線はパラメトリック関数表現であり、x座標から直接y座標の値を得ることが困難である。本提案手法は、局所移動平均(Ensemble o fmoving average)を用いた陽関数表現であり、2次関数で定義した連続的で滑らかな曲線である。そして、最適化の制御点の値を事前に求めることにより、13ビット精度のy=1/x曲線を生成した。さらに、13ビット精度の固定小数点除算器のシステム実装を行った。本提案手法の除算器のレイテンシは「1」であり、相対誤差率も「0.01%」以内に収まっているため、13ビット精度を保証している。これにより、画像処理の輝度レベルの規格化、フィルタリング、マスク処理などにおいても活用することができる。

今後の課題としては、除算器精度を24ビットまで向上し、シフト処理と補間曲線生成方法を活用した単精度の浮動小数点除算器を構成することである。また、本提案除算器のワークフローが簡潔なため、パイプライン処理することにより、高周波数の除算器の構成も考えられる。