卒業生とその進路

アンチエイリアシング処理を用いた4K8K解像度リアルタイム超解像処理


草野 穂高

2016 年度 卒 /修士(情報科学)

修士論文の概要

本論文では、高解像度ディスプレイの普及に伴う超解像処理の需要の高まりと、今後の8Kを見据えた動きについて説明した。続いて、超解像処理の様々な手法と特徴について説明し、新コンセプトによる超解像手法をベースに新たな超解像処理を提案した。本提案手法は、アンチエイリアシング処理を活用したものであり、エイリアシングを低減した画像を出力することができる。本手法は、新たに開発した異方性バイリニア補間を拡大手法に用いることによって階段状のアーティファクトの低減と、局所統計量に基づいたエッジ再構成処理を組み合わせることによって、低処理コストかつ高品質な超解像処理を実現している。本提案超解像処理アルゴリズムをFPGAボード上に実装し、フルHDから4Kへの超解像、さらに8Kへの超解像処理をリアルタイムで動作することを確認した。最後に、複数の超解像処理と画質評価を行なった。画質評価には、主観的な出力画像の比較と、定量的な画質評価指標の両方を用いることによって、本提案超解像処理が高品質な画像を生成していることを確認した。

本提案手法は、エッジ部分を多く含む画像に対しては良好な結果を得られるが、エッジとして定義しづらいテクスチャ部分を多く含む画像に対しては、不自然な処理が見受けられる。今後はエッジ成分を高精度に生成できないテクスチャ部分に対しても、適切な処理が施せるようエッジ再構成処理を拡張する予定である。また異方性バイリニア補間については、今回は斜め2方向のみエッジ強度のみを用いているが、縦方向と横方向のエッジ強度についても用いる余地がある。ただし算出するエッジ強度が増えると演算量も増加してしまうので、処理コストと品質とのバランスを見ながら検討する必要がある。